水のコラム
その入浴剤、本当に使って大丈夫?お風呂を傷つけてしまう入浴剤の危険性について解説!
寒い日のお風呂に入浴剤を入れると、とても気持ちいいですよね。
最近ではいろいろな入浴剤が販売されており、ついつい目移りしてしまうのではないでしょうか?
自宅にいながら温泉気分を味わえるお風呂入浴剤ですが、使い方を間違えてしまうとお風呂を傷つけてしまいます。
今回は、入浴剤の選定法から使い方のヒントについて紹介します。
入浴剤の誤った使い方
まず、入浴剤はバスタブに対して無害だと思っている方もいるかもしれません。
ところが、バスタブの素材に合っていない入浴剤を使ってしまうと、傷んでしまうことがあるのです。一番避けなくてはならないのが、硫黄成分を含む製品です。
多量に使用してしまうと、大理石やプラスティックで作られているバスタブが、そのツヤをなくしてしまい、金属部分も腐蝕することがあります。
他の素材であっても、変色の危険などがあるので注意しましょう。バスソルト類も同じように金属を腐らせることがあります。とくに、金属製のバスタブには使用しないようにしましょう。
また、炭素系入浴剤を使用した場合でも、大理石のツヤがなくなってしまうことがあります。
ちなみにバスタブ内が乳白色に濁るタイプの製品には、無機系酸化チタンが含有していることがあり、バスタブを劣化させてしまうので注意してください。とくに、木製のバスタブには使用しない方がよいでしょう。
バスタブのお湯の沸かし方には「給湯器で沸かすタイプ」「バスタブと風呂釜をパイプ管で繋ぐことで、お湯を循環させるタイプ」、また「浴槽自体に水をためて沸かすタイプ」のものがあります。
中でも、二つ目の「バスタブと風呂窯のお湯が循環するタイプ」は、入浴剤の種類によっては循環通路内の金属部を腐らせてしまうこともあります。
使用を避けた方がいい入浴剤は「硫黄系・ソルト系・炭酸ガス系・無機系酸化チタン」のいずれかを含んでいるものです。とくに、お湯循環タイプのバスタブについては、取り扱いに細心の注意を払いましょう。
入浴剤を使用するメリット
一方、入浴剤を使用するメリットもいくつかあります。
一般的に次の3つの効果があるといわれています。
■温熱効果
温熱効果とは、体が温まることです。
お湯に入ると体内の血管が広がるので、全身の血行が良くなり、温かな血液がめぐることで体の芯まで温まり、保温されます。
代謝も活発になり、無駄な老廃物の排出を手伝ってくれます。
湯温によって自律神経の働きが違ってきます。リラックスしたいときには、ぬるま湯(39〜40℃)に浸りましょう。副交感神経の働きを促進します。
逆に活動的になりたいなら、お湯(42℃)に浸かるのがおすすめです。交感神経が働いて気分を爽快にしてくれます。
■水圧効果
水中では体に水圧が掛かって、手足の血管や内臓が影響されるので、血液やリンパの巡りがよくなります。
また、胸部に水圧がかかると肺の横隔膜を押し上げるので、肺の容積が少なくなります。それによって空気量が減ります。減った空気量を補うために呼吸頻度が増し、心肺機能が高まっていきます。
■浮力効果
水中では浮力が働くため、陸上にいるときに比べて、体重が約9分の1になるといわれています。
したがって筋肉や関節への負荷が減るので、リラックスできるようになるのです。
入浴剤の正しい選び方
ここで、入浴剤の正しい選び方についても触れておきます。
通常入浴剤は、大きく分けて5つの種類に分けることができます。順に紹介しますので、チェックしてみてください。
■無機塩類タイプ
このタイプの入浴剤は、成分に含まれる塩類が皮膚表面タンパク質と結び合わさり、体に保護膜を生成します。この保護膜が体の熱を逃さないので、入浴後も保温状態が続きます。体が冷え込んでいる時におすすめです。
同時に、皮膚下部にある細胞組織を活性化させる効用や「ヒビ」「しもやけ」などを緩和する効用、石鹸と同様に皮膚の汚れを浮化することで、汚れを落としやすくキレイに保つ効用もあります。
無機塩類が主成分であり、保湿剤、色素、香料なども添加されています。粉末や粒状の入浴剤が多いです。
■炭酸ガスタイプ
お湯と混ざるとシュワッとして溶けていくのが、炭酸ガスタイプの入浴剤です。湯に溶かされた炭酸ガスは、皮膚から吸収されると血管を広げる効用があります。
その結果、血の回りがよくなり新陳代謝を促すので、1日の疲労を和らげてくれます。体内に入った炭酸ガスは最終的に肺呼吸によって放出されるので、体に害はありません。
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩と有機酸類を配合し、保湿剤、色素、香料などが含まれています。錠や粒状の入浴剤が多く販売されています。
■薬用植物タイプ
この入浴剤は、製品によって混合されている生薬に違いがあります。
生薬の骨組みについては、まだ未開発な面もあります。
しかし、長い年月をとおして使用されてきたその効果は、今も認められています。また、医薬品として海外においても注目されています。
例をあげると、当帰・センキュウといった生薬には血行促進効果があり、温浴効果を高めて肩こりや腰痛を予防します。陳皮が含まれる入浴剤であれば、肌荒れを抑制します。
また、生薬の独特の香りにはリラックス効果があるといわれています。粉末や生薬を刻んだ形状の入浴剤が多いです。
■スキンケアタイプ
スキンケアタイプの製品もは、潤い成分がふんだんに混合されています。
湯に使った後の肌はやわらかく浸透しやすい状態なので、潤い成分が表面だけでなく角質内部に浸透し、保湿を助けてくれます。
入浴剤を使用してのスキンケアであれば、背中などにも手が届きしっかり肌ケアしてくれるので、スベスベで滑らかな肌になれます。
保湿成分含有のものや白濁するもの、無機塩類に保湿成分を含んだものなどがあります。液状または粉末タイプが多いです。
■クールタイプ
暑い夏は、どうしてもシャワーだけで済ませてしまいがちですが、実は夏に入浴をするのも健康によいです。冷房にあたりすぎて冷え切った体は、夏バテの原因にもなりかねません。
このようなストレスを抑制するには、ぬるま湯にゆっくりと浸かるのが一番です。というのも、副交感神経が働き、気持ちを落ち着かせてくれるからです。
湯上がり後の汗のベタつきを気にする方は、クールタイプの製品を使用するとよいでしょう。なお、メントール配合のタイプなら湯上がり後の肌もサラサラして心地よく過ごせます。
実際の体内温度は変わらないのですが、メントール成分が冷感神経を刺激しているので、扇風機に当たるよりもすっきりするでしょう。重曹やミョウバンが混合されたタイプの製品は、肌をさっぱりさせる効用があります。
無機塩類タイプや炭酸ガスタイプの賦形剤は、清涼成分による冷感を与え、入浴後の肌をサッパリさせるものです。粉末・錠などのタイプが多くなっています。
お風呂を傷めないために気を付けたいポイント
最後に、成分ごとに気を付けるべきポイントを見ていきましょう。どの製品を使った後でも、しっかりと流すことが大切です。
そして、定期的にバスタブ用の洗浄剤で、浴槽を洗う習慣をつけておきましょう。
■硫黄成分
浴槽と給湯機器、いずれも傷をつけてしまう可能性が高いので、原則として使用しない方がいいでしょう。浴槽表面がザラザラとしてしまうのです。
微量の場合は別として、入浴剤を使用中は「追い焚き」などは避けましょう。
■泡・乳白色・ソルト系
浴槽内に関しては、問題ありません。
しかし、給湯器とつながるパイプを傷つける恐れがあるので、これらの入浴剤を使用中の場合、追い焚きなどは厳禁です。
■その他
アルカリ性や酸性が強い製品は、そのまま使い続けると浴槽表面が傷みます。充分に気をつけましょう。
まとめ
この記事では入浴剤について、その危険性や正しい使い方など、さまざまな観点から解説しました。
私たち忙しい現代人にとって、入浴剤を取り入れた「バスタイム」は唯一の癒しともいえるほど、大切な時間です。その「おうち時間」を100%楽しむためにも、入浴剤の使い方には充分に注意しましょう。
そして、この癒し時間を演出する主役のバスタブに負担をかけないように、使用後の清掃などマメに手入れをしましょう。