水のコラム
梅雨を彩る花・紫陽花の育て方 ~初心者でも楽しめるガーデニングの基本~【水道職人:公式】
梅雨の風物詩とも言える紫陽花(あじさい)は、日本の気候に適しており、比較的育てやすい花のひとつです。
雨に濡れる姿が美しく、しっとりとした風情を持つ紫陽花は、庭や鉢植えでも人気があります。
また、環境によって花色が変化することから、育てる楽しみが広がる植物としても知られています。
今回は、紫陽花を元気に育てるための基本知識や、水やり・土づくり・剪定(せんてい)のコツ、毎年花を咲かせるためのポイントをご紹介します。
育てる前に!紫陽花の種類と選び方
紫陽花を育て始める前に、最初に押さえておきたいのが、紫陽花には多くの種類があるという点です。
代表的なのは「ホンアジサイ」「ガクアジサイ」「セイヨウアジサイ」などで、それぞれに花の咲き方や特徴が異なります。
たとえば、ホンアジサイは丸いボール状の花をつける紫陽花で、日本の庭先などでもよく見かけます。
ガクアジサイは中心に小さな花が集まり、その周囲を大きな装飾花が囲む平たい形状が特徴です。
また、ホンアジサイはガクアジサイを品種改良した紫陽花です。
セイヨウアジサイはホンアジサイをもとに西洋で品種改良された紫陽花で、色の変化がはっきり出るものが多く、観賞価値が高いとされています。
育てる環境や目的に応じて、お好みの品種を選ぶとよいでしょう。
紫陽花の育て方①植え付けの時期と場所
紫陽花の植え付けに適した時期は、一般的に秋(10~11月)または春(3~4月)です。
とくに、根が活動を始める前の春先に植えると、その後の成長が安定しやすくなります。
植え付ける場所としては、半日陰~明るい日陰が理想です。
直射日光が強すぎると葉焼けを起こしやすくなるため、夏場に西日が当たりにくい場所を選びましょう。
また、風通しがよく、湿気がこもらない場所を選ぶことも、病害虫(びょうがいちゅう)対策の観点から重要です。
紫陽花の育て方②紫陽花に適した土と水やり
紫陽花は水を好む植物ですが、水はけの悪い土壌では根腐れを起こしやすくなるため、土づくりが重要です。
基本的には「赤玉土:腐葉土=7:3」程度の配合がよく、水はけと保水性のバランスを取るのがポイントです。
なお、酸性寄りの土壌を好むため、アルカリ性に傾いた場合はピートモス(土壌改良剤)を加えるとよいでしょう。
また、花色(はないろ)を青くしたい場合には硫酸アルミニウムを加え、赤くしたい場合には苦土石灰(くどせっかい)をまくなどの調整も可能です。
水やりは土の表面が乾いたらたっぷりが基本です。
とくに、夏場は乾燥しやすいため、朝と夕方の2回に分けて水やりをしましょう。
ただし、常に湿っている状態だと根腐れのリスクがあるため、鉢植えの場合は水抜けのよい鉢を使用し、受け皿に水を溜めっぱなしにしないよう注意してください。
紫陽花に与える水の性質によって土壌は影響を受けるため、育てたい花色に合わせて水の性質を考えることも必要です。
関連記事:紫陽花の色は水で変わる?~水の性質と土壌環境が織りなす梅雨の魔法~【水道職人:公式】
紫陽花の育て方③肥料の与え方
紫陽花には、春の芽出し時期(3~4月)と開花後(7月頃)に肥料を与えるのが基本です。
使用する肥料は、緩効性(かんこうせい)の化成肥料(かせいひりょう)や、有機肥料が向いています。
芽出しの時期には「リン酸多め」の肥料を与えると、花付きがよくなります。
逆に、開花後はお礼肥(れいごえ)として窒素やリン酸、カリがバランスよく含まれたものを使用し、株全体の回復を促します。
ただし、肥料の与えすぎは花がつかなくなる原因となるため、規定量を守ることが大切です。
鉢植えの場合は、液体肥料を薄めて与えるのも効果的です。
紫陽花の育て方④剪定の時期と方法
紫陽花の剪定は、花が咲き終わった直後(7~8月中旬)に行うのが最も適しています。
その理由としては、紫陽花はその年の秋に翌年の花芽(はなめ)をつけるため、それ以降に剪定を行うと翌年の花が咲かなくなってしまうからです。
シーズンが終わったら、花から2節目(ふしめ)の下でカットし、古い枝や混み合っている枝も整理しましょう。
風通しがよくなることで病害虫の発生も抑えられ、元気な新芽の成長にもつながります。
また、定期的に株元(かぶもと)から出てくる「ひこばえ」(不要な若芽)を取り除くことも、株の形を整えるポイントです。
紫陽花の育て方⑤病害虫対策と注意点
紫陽花は比較的病害虫に強い植物ですが、梅雨時期は湿気が多いため、灰色かび病やうどんこ病などのカビ系の病気が発生することがあります。
見つけ次第、被害箇所を取り除き、必要に応じて薬剤散布を行いましょう。
また、アブラムシやカイガラムシなどの害虫にも注意が必要です。
葉の裏などに小さな虫がついていないか定期的にチェックし、見つけたら早めに駆除するのが理想です。
剪定で風通しをよくし、水やりの際に葉に水がかからないようにするなど、日頃の手入れで病害虫の予防を心がけましょう。
紫陽花の育て方⑥冬越しの方法
紫陽花は耐寒性があるため、基本的には屋外で越冬できます。
落葉後は株元に腐葉土やワラをかぶせる「マルチング」をして、根を寒さから守るようにしましょう。
また、鉢植えの場合は、霜や強風を避けるために軒下などに移動するのが安全です。
水やりは冬の間は控えめにし、土が乾燥してから少量を与える程度にしましょう。
暮らしに彩りを与える紫陽花
紫陽花は、梅雨の季節に彩りを与えてくれるだけではなく、季節の移ろいを感じさせてくれる存在でもあります。
花色の変化を楽しんだり、手入れを重ねて毎年咲かせる達成感を味わったりと、ガーデニング初心者でも始めやすい植物です。
育て方の基本を押さえておけば、毎年、美しい花を楽しめるでしょう。
さらに、水や土との繊細な関係に注目すれば、植物の成長を通して自然とのつながりも深く実感できるはずです。
紫陽花を通じて、梅雨の季節をもっと好きになってみませんか。